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Music

​三春賦 / Three Songs of Spring

Lyrics

​修羅のアベセデール

いかに光がなくとも

それは花びらの色と

分かるように頬をなぜ

春と知らせる夜風よ



この世じゃあ体をきっと

すぐに持て余す



天下 愉快や夜道

月が我が身を磨く

君が春を謳えば

今に夜風が哭くよ



流れるままに過ごせば

ひとつのことに気づいた

手に入れてみたいひとは

さくらの匂いがすると



たとえ足元に何を

埋めていようとも



君の孤独を知れば

笑う悪魔の涎

今日も優しさを理由に

君の体にふれる



「言い忘れた。涙は嘘です。」



ただの意地だと知っている

そう、わたしたちならばかなの

上着のすそを引いたり

背中の皮ふをつねったり



意気地がないの

さようなら

まるで泥仕合



ここで小首かしげて

君を見遣り黙れば

すべて思いのままに

今この時は得たり



「言い忘れた。笑顔は嘘です。」



なぜただ生きるだけでは

いけないのですか?



天下 愉快や夜道

月が我が身を磨く

君が春を謳えば

今に夜風が哭くよ



仏みたような君も

きっと同じようなものだろう

ぜんぜん渇かぬのなら

うっかり落としてしまうよ

命が惜しくば求めよ

​家なき子の晩春

花はもう終いと

出そろう青葉に知る

霞んだ川面を

犇めく花弁が汚す

 

花の汀で彳んでいる

 

淡い思いは潮騒橋で

澱む水に捨てるわ

ああもう、なぜ涼しい顔で

花は散る  ながめる合間に

 

差し入れた手肌に

張り付く花の骨は

浮かぶ死んだ蠅と

容貌(かたち)で分かりはしない

 

軀を頼る愚かさを

 

春の暮れの夕凪橋で

切れない潮目に気づく

幾度も得ては失う繰り返しに

付き合えないなと

 

思い出は霞橋で途切れ

あとは忘れた

淡い香は春の驕り

熱い血も嘘をつくとは

淡い思いは潮騒橋で

澱む水に捨てるわ

ああもう なぜ涼しい顔で

花びらは土に還ると

​春はうわごと

草いきれ匂い立ち

紫色の花とバラが咲く

五月の青葉は

木漏れ日を浴びて

あとの事ならどうでもいいよと



綾織りに垂れ込める

霞のけぶる季節

音のしない世界で

ひらひらと手を振って

気高い頰は虹色

 

悲しいほど優しいあなたが

朽ちてゆく枝葉と

そよがぬ花弁の

ゆき着く先が

しあわせだとするなら

さよなら今生

また来て来世

光るは君の言葉と眼差し



春はうわごと

最後の言葉は忘れてしまった

そんなものなんだろう



いついつ出やる

転がる花片よ  

もう沢山だろう?



春はうわごと

覚えていたなら

きっとこのまま

生きてはいかれないと

さよなら今生

また来て来世

光るは君の言葉と眼差し

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